撮影:篠田優
『かつて風景の一部だったものに、風景をプリントする。-Chalcosoma atlas (1°20'05.8"N 124°51'55.3"E)WGS84-』 
『Printing the Landscape on Something that Was Once a Part of the Landscape -Chalcosoma atlas (1°20'05.8"N 124°51'55.3"E)WGS84-』
 dimensions: 250 × 200 × 75 (mm) / UV プリント, 昆虫標本 UV printing , insect specimens / 2019 
『かつて風景の一部だったものに、風景をプリントする』シリーズについて
土地の記憶をモチーフに、昆虫の身体に昆虫のいた土地の風景写真をプリントした、新しい風景写真を作りました。 浮かび上がる写真(銀塩写真)から、メディアの特性に関係なく塗布される写真(インクジェット写真)が発明され、写真がメディアから開放された時代でありながら、次なる写真表現が目指した時代が、写真から物質性を無くしたディスプレイで鑑賞される写真となった現代に対するアンチテーゼにもなる作品です。
インドネシアは近年急速な発展を遂げている。この個体を採集した地域も例外ではなく、中国人観光客を呼び込む為に様々な土地開発が行われて始めた、まさにその最中だった。人一人通れるくらいの道も次々に重機が入り道が広げられ、近くには新しい大型ホテルが建造されている。このアトラスオオカブトムシはそうした建設現場の強烈な明かりにも誘引され、夜の建築現場周辺にはこのカブトムシが多く紛れ込んでいた。
観光都市化しようとする地域の現状を反映するとともに、自然や森が多く広がりその領域に人間が入り込んで生活している状況が逆転しているようにも見えた。しかしいった状況もこの先長くは続かないのだろう。プリントされた風景は、新設道路建造の為泥道に入ったトラックがぬかるみにはまりスタックしている様子である。
About 
this series『Printing the Landscape on Something that Was Once a Part of the Landscape』
 I created a new type of landscape photography with "the land's memory" as a theme, by printing onto the body of insects photographs of the landscape that they used to live on. Darkroom (silver halide) printing was succeeded by photographs which are not tied to one media for printing (inkjet), and, while photographs were already independent of the media, the search for a new way to present them led to the current era of digital displays, altogether foregoing the physical aspect of photography. This artwork is also meant as an antithesis to this era.
撮影:篠田優
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